ホアンスーフィーとは
ベトナム・ハノイから約300km離れた中国国境地帯の山岳部にある村である。大規模な棚田があることで有名。ちょうど棚田の稲穂が実る時期に隣国ラオスまで来ていたため、行ってみることにした。

サパ〜ハザン
ラオス・ムアンクアからディエンビエンフー、サパへと移動してきていた。


サパは欧米人が好きそうな高原リゾートである。こういう場所を日本にも作ればいいのに…

朝、ハザン行きのリムジンで出発。この「QUANG NGHI」というバス会社の乗務員は全体的に荒っぽい人が多いため、オススメしない…
サパ〜ハザンは6時間30分。

バスに乗っている途中で、このようなメッセージが送られてきた。なかなか楽しそうな宿じゃないか!秘境好きなのでテンションが上がる。


16時ごろ、ハザンバスターミナルに到着。近くのボロニャギ(日本人が泊まれるクオリティじゃないが、翌朝バスターミナルでホアンスーフィー行きを捕まえたいので泊まる)になげやど。受付してくれた少年もうちに泊まるのか!?という顔をしていた。

警察署に行き、入域許可証を取得。ハザン省(当時)の国境地帯へ行くためには許可証が必要となっているが、実際には提示を求められる場面はなく、形骸化しているようだった。しかし外国人が旅行するのがメジャーではない地域に行くため取得しておくと安心である。
ハザン〜ホアンスーフィー

翌朝、バスターミナルの近くを歩いていると、ホアンスーフィーのさらに先のシンマンへ行くバスを発見。聞いてみたところ、ホアンスーフィーを通るということだったので乗車。
このバスはバスターミナルに寄らずそのままハザンの街を離れていったので、直接バス会社に行く方が確実に乗れると思われる。

乗客は自分だけ。


物資がメインなのか?と思ったが、帰りのバスは乗客が満載だった。

バスは次第に山道に入る。雲の上を走っていく。

このような崩壊したあとの場所をソローリソローリと越えていく。バスが不気味に横揺れするたびに死を覚悟する。実際、ハザン省(当時)ではバスの転落事故が頻発している。

滝のようになっているところを通過する。迫力満点。

峠を越えてホアンスーフィーに入る。

峠から下る道の途中に棚田があった。しかしこれから行く場所の規模はこれよりはるかに大きい。


ホアンスーフィーの中心部に到着。バスが停車した場所の近くで昼食を食べる。


「天空の町ホアンスーフィー」は、思っていたより都会だった。都市部へ人口が流出する前の日本の山村もこのぐらい賑やかだったのだろうか…

ニャギになげやど。ここは比較的きれいだった。




人民委員会の前に掲げられていた絵。どれも美しかった。
この日は村の中心部で宿泊。
中心部〜山の上の民宿


翌朝、ニャギの前まで迎えにきてくれた現地管理人?氏(サイトに載っていたオーナー氏の写真よりは明らかに若かった)のバイクに乗り、山の上にある民宿へ向かう。前日の台風の影響で川が増水していて嫌な予感がしたが…


案の定、急な坂道は濁流と化し大変なことになっていた。最初の道は途中で寸断されていて通れず、引き返して別の道へ。バイク1台が通るのがやっとの急なクネクネ山道を2時間登り続けた。
この道中はクレイジージャーニーに出られるレベルだと個人的に思っている。撮影できなかったのが残念。
山の上にある民宿、Nậm Lỳ Retreatに到着。奥さんが暖かいお茶を準備して待ってくれていた。

曇っていたが、美しい棚田の片鱗が見えている。


建物は山岳民族の高床式住居を模した造りで、板の間の部屋とベッドの部屋があったが、日本人としてシンパシーを感じるこちらの部屋にしてみた。

外側の扉を開けると棚田が見える素敵な造り。

下のハンモックでボーッとしているうちに霧が晴れてきたので、少し歩いて景色を見に行くことにした。

広大な棚田が少しずつ姿を現しつつあった。明日はもっと美しい景色が見られることを願い、宿に戻る。

宿の夕食。物資の乏しい山の上でこのごちそうを出すためにはすごい労力がかかっていることが察せられる。管理人氏と奥さんに感謝しつついただく。

食事のたびに足元によってきて分け前をねだってくる猫ちゃん。とてもかわいいのでついついあげてしまう。だがこの子、満腹になった途端懐かなくなり茂みの中へ走って逃げてしまう現金な子である(笑)

夜は闘いであった。20時ぐらいからどんどん羽虫が部屋の中に飛んでくる。写真ではわかりづらいが身体中にまとわりついてきて鬱陶しいことこの上ない。電気を消し、備え付けの蚊帳を設置するが張り方が甘く隙間から容赦なく侵入してくる。格闘の末なんとか隙間のない張り方にたどり着き、就寝。
棚田の絶景を眺めながらトレッキング

翌朝の朝食。簡素だがちゃんと美味しかった。

朝食が済むと、オーナー氏がWhatsAppで楽しんでいるかどうかを聞いてくれ、地図を送ってくれた。後で調べて分かったことだがオーナー氏はハノイで旅行会社を経営しているようだ。宿のことは管理人夫婦に任せているのだろう。
地図に従ってトレッキングに出かけることにした。

宿から下っていくと…

棚田なのにスイス(察していただけるとありがたい)のような景色が広がっている!!

さらに山道を歩いていくと…

なかなか流れが早く、それなりに深そうな川にぶち当たった。
「これ、渡れるのか…」と思ったが…
そのとき、バイクで走ってきて川を渡り、何事もなく走って行った地元の方がいた。「バイクが行けるなら徒歩でも行けるだろ‼︎」そう思って進むと、無事渡り切れた。

川の近くにいた綺麗な青色のトンボ。
しばらく歩いていくと、木が途切れ、棚田が見下ろせる場所に着いた。


はるか遠く、中国国境の方まで山全体が棚田で埋め尽くされている!!スケールの大きさにしばし絶句。

眼下に見える集落は、少し昔の日本のような懐かしい風景。

今にも崩れそうな岩の隙間を抜け…

地図の一番奥にある滝に到着。
絶景に大満足して宿に戻った。
コメント
素晴らしい紀行文ですね。写真も分かりやすくてとても良いです。僕が若ければ今からでも飛んで行きたい位、興味をそそります。
途中に出てくるトンボは恐らくアオハダトンボだと思います。分布も本州以南で海外でも東南アジア一円となっています。
ありがとうございます。
僕は自力で行きましたが、オーナー氏に頼めばハノイからの交通手段を手配してくれるようです。お歳を召されていても大丈夫だと思います。
アオハダトンボというんですね。日本で見たことがないのでてっきり東南アジアにしかいない種類だと思っていました。