ケガをした時の状況
翌朝に帰国を控えた夜。当時、ベトナム・ハノイの旧市街にいた。ちょっと夕食を食べてからトレインストリートを見に行こうかと考えてホステルの外に出た。アジアで外を歩くときは常に怪しい人間に近寄らないように注意しているのだが、物に対する注意を怠っていた。また、そのときは気が緩んで少しフラフラと歩いていたことも否定できない。

突如として顔に金属質の物が勢いよく当たり、ぶつけたような痛みを感じた。
ぶつけた場所を触ってみると、生暖かい感触がした。皮膚がパックリと割れていて、中の肉にさわれる状態だった。血もだらだらと流れていた。
屋台の屋根が垂れ下がっているところに顔をぶつけ、深い切り傷を負ってしまったらしい。
これはまずい!と思った。間違いなく、ただ単に圧迫止血しただけで治るやつではない。この状態では翌朝飛行機に乗れない!ということが頭をよぎった。
ホアンキエム湖北側のロータリーに警官がいたことを思い出す。助けを求めようと、傷をタオルで押さえながらロータリーに急いだ。

数分でロータリーに着いた。警官はいなかったが、タクシーが何台か止まっていた。普段なら絶対乗らないような中小のタクシー業者だけだったが、背に腹は変えられないので1台のタクシーに声をかける。運転手に傷を見せ、「ホスピタル!」と言うと顔色が変わったので分かってくれたようだった。
病院へ
タクシーに乗って数分で病院に到着。さすが首都の中心部だけあってすぐ近くにあった。

あとで分かったのだが、ベトナム・キューバ友好病院という東側っぽい名前の病院だった。
診察室に入ると40代ぐらいの女性医師からカルテのようなもの(上の写真)を渡され、書くように言われたのだがベトナム語表記のみでよくわからなかった。首を傾げると、1つ目の項目は「Name」と言われて分かったのだが、2つ目が鬼門だった。

エッジ!

エッジ?

エッジ!エッジ!

エッジ?????

・・・あっ、「Age」か!
他にはケガをした原因や、破傷風のワクチンを打っているかなどを聞かれた。Google翻訳が大活躍だった。
なおこの会話をしている間も、傷口にはガーゼを貼られただけで血がドクドク出ている。さらにベトナムの病院は治療をする前にお金を払うシステムらしく、医師が金額を決定し、メモを持って会計窓口へ行くよう言われる。だらだら血を垂れ流しながら歩いていると、来ていた子供たちから何事かと言う目で見られた。
会計窓口での手続きはタクシーの運転手が代行してくれた。この運転手は最後まで一緒にいてくれて良い奴だった。治療費は80万9千ドン(約4850円)と思ったより安くて助かった。
処置室へ行き、金属製の無機質な手術台?に横たわると、医師から「これから縫います。ちょっと痛くしますよ」的なことを言われ、傷口を縫われた。ちくちくする程度で、思ったよりは痛くなく拍子抜けした。
処置が終わると、運転手が外で待ってくれていてホステルまで送ってくれた。ホステル近くの薬局で、カルテを見せ処方された薬を買った。翌日関西空港の診療所で確認してもらったところ、日本でも普通に処方される抗生物質と痛み止めであった。
また、顔に傷が残らないよう、ちゃんと細い糸で縫ってくれてあるということだった。1週間後に日本の病院で抜糸をしてもらったのだが、綺麗に傷口が塞がっていた。
今回の件は不幸中の幸いだったと言う話
上記のどれか一つでも欠けていたら、もっと大惨事になっていたと思われる。
屋台の屋根でケガをすると言うのは東南アジアあるあるらしく、よくあることなのに注意を怠ってしまって情けない限りである。
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